小泉首相の靖国神社訪問2005年10月17日 20時38分30秒

事前の噂通り(観測気球をあげていたのでしょうが)、小泉首相は靖国神社を訪問したということです。

それに対して、中国・韓国政府が抗議をし、一部の「反日ナショナリスト」が街頭で気勢を上げ、日本ではプチ・ナショナリズムに感染した若者の軽薄な「戦死者を悼むのに口出しするなんてうざい」という小泉の口まねをメディアがまきちらし・・・・、と何か予想通りの見慣れた風景がくり返されているに過ぎない、と感じてしまうことこそが恐ろしいことです。

総理大臣という公職にあるといえども、一人の人間として、彼が公務を離れて、どのようなおタッキーな趣味を愛好しようとも、どのような女性とつきあい、どのような嗜好に耽溺しようとも、基本的には彼のプライベートな生活であります。そのようなレベルでどのような信仰をもち、どのような神社仏閣霊廟墓地を参拝しようとも自由だということは、私も同意します。

しかし、小泉氏が自民党総裁選で公的に約束し、すべてでないにしても裁判所で「違憲」判決が出され、しかも、国家意思に基づく侵略戦争遂行の責任があると「認定」されているA級戦犯問題が超公的問題として浮上している現実の中で、今日のような(多少違憲判決を意識して方式を変えたとはいえ)参拝を彼がすることに、一片の賛意も持ち得ません。

しかも、彼は<人間として戦没者を追悼し、平和を祈念するのは人の心のあり方であり、それを批判するのは干渉だ(特に外国が批判するのは内政干渉だ)>という主旨のことを発言しています。

こういう詭弁は本当に小泉純一郎的ですなあ。

1)靖国神社が特定の宗教法人であることを無視、2)被祀者が戦没者一般ではなく帝国軍人であることを無視、3)A級戦犯=謝罪した侵略戦争の責任者が祭られていることを無視、4)行政府の最高責任者=公権力行使の意思決定者の行為が、国民の「心の問題」=精神の自由との関係で問題になっていること無視、5)中国・韓国の政府との外交関係について国家指導者として向き合う姿勢が欠如(批判や論争も含めて)、6)中国・韓国の国民感情が反日ナショナリズムに帰結する危険大である環境に対してどのように対処するのかという展望が欠如、いくらでもあげられるので、これくらいでやめましょう。ともかく、権力者が自分の「心の問題」なんてふやけたことを堂々と言えて、メディアも無批判というのがこの2005年の日本の風景なのであります。

私も前に「小泉首相は靖国神社参拝を」と書きましたが、きっと理念あるナショナリストやアジア主義者としての右翼のみなさんも、小泉氏のこの姿勢には憤っていることでしょう。