靖国参拝イメージ戦略に対抗するためには2005年10月19日 21時57分42秒

新聞社・通信社による小泉靖国参拝についての世論調査では、賛否が拮抗しているようですが、賛成が確実に増えていますね。今日の 朝日新聞によると、靖国参拝を「よかった」42%、「参拝するべきではなかった」41%だそうです。

同じ朝日だと5月の末の調査 だと、靖国神社参拝を「やめた方がよい」は49%、「続けた方がよい」は39%でした。 さらに6月の調査「やめた方がよい」52%、「続けた方がよい」36%。

今回、明らかに靖国参拝肯定が、小泉自民党への高支持率を背景に増えています。

その点をbrotherjinさんは、ブログ「◆木偶の妄言◆」で、下のように指摘されています。

それでも靖国を参拝した。なぜか?

僕はある意味「イメージ戦略」の一貫だと思っている。

小泉首相にとって、外交で毅然とした態度を取れるのが靖国

参拝(=対中韓)だけであり、靖国参拝を中止することは、小

泉首相の人気の源泉である「妥協しない」「屈しない」というイ

メージを崩しかねない。

たしかに小泉氏の「イメージ戦略」は、この間の「小泉(デマゴギー)劇場」にみられるように確実に功を奏しているといえそうです。

特に気になるのは、今日の朝日の調査だと

参拝の賛否は、男性では「よかった」38%、「参拝するべき ではなかった」46%と反対が多いが、女性では46%対 36%で賛成が上回った。

というところですね。 女性の方が、「戦争と平和」に関しては敏感なのが通例ですが、「靖国参拝」は<戦死者を追悼し平和を祈念するためだ>というイメージに塗り替えられつつあるということでしょう。 (もちろん若い世代と同様に、メディアの影響をより大きく受けているともいえるでしょうが)。

「私人か公人か」「政教分離に抵触しないか」というような重要な論点は、小泉の「二度と戦争をしない」「平和を祈る心」など美辞麗句で、より遠くに後景化されているわけです。

やはり、小泉イメージ戦略に対するためには、あの大東亜戦争の悲惨という、過去の現実からリアルな「真実」をたぐりよせるしかありません。「真実」は当然にイメージを喚起します。

たとえば、<殺人やレイプの被害者・その家族は、隣人がその凶行の実行責任者の墓に参拝することに対してどう思うでしょうか>というナレーションから始まる1分間のビデオクリップをつくって、無数のサイトでそれを流すというのはどうでしょう。

そこでは、大東亜戦争で日本軍が行った蛮行、それを実行させた東条らの責任者、犬死にさせられた日本軍一般兵士の姿、そして靖国神社どういうことを今も主張しているのか、中韓だけでなく台湾・シンガポールなど東南アジアの人々が日本軍の行為に対してどういう思いを抱いているか、切々と訴える映像。そして、「反日デモ」の一部暴走と靖国・ 遊就館に象徴される皇国肯定が、危険なナショナリズムとしては同じであり、相互の韓流・日本ブームのように、アジアの国同士が楽しくつき合っていくことが、平和を築いていくことを訴える・・・・。

既成党派や左翼っぽい市民運動ではなく、バランス感覚と表現力がある人がつくってくれませんかね?

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_ 半共分子の独り言 - 2005年10月19日 23時48分20秒


カッシーニでの昼食でコメントしたことを元に、靖国神社の問題点を整理してみようと思います。
 右派の論客西尾幹二氏のブログによれば、「首相は今夏に発表した談話で「戦争によって心ならずも命を落とされた多くの方々」との表現を使ったが、自ら進んで出かけていった将兵たちの心をまったくわかっていない。」「靖国参拝は一旦緩急あるときに英霊の後を追って自分も国のために戦うという誓いのために行われるのであって、不戦の誓いのために行われるものではない。」というのが靖国神社の教義の本質であるようです。

 首相らの参拝が、特定宗教に肩入れする格好になっていること。首相や大臣が、靖国を不信心の戦没者遺族の信教・内心の自由を侵す。(伊勢神宮への初詣も、公職にある間は、本当は良くない。)
 靖国神社自身が、遺族の意向に構わず、戦死軍人の合祀を行い、異教徒の遺族に魂を返すことを拒否すること。靖国神社自身が、靖国を不信心の戦没者遺族の信教・内心の自由を侵す。(大阪高裁の違憲判決は、台湾の遺族の訴えであり、この問題が暗に影響していると思います。)
 靖国神社の祭神の大部分が、「軍人として名誉の戦死・戦病死を遂げた」人々であり、大多数の非軍人戦没者を含まない。教義が、戦死軍人を悼むのではなく、戦死軍人に続いて、国のために死ぬことをむしろ薦める、という、非人道的な教義であること。一種のカルト宗教ではないか。個人的にせよ、そういう教義を信じると公言することが、首相や大臣としてふさわしくない。
 靖国問題において、いわゆるA級戦犯が問題であり、A級戦犯の分祀をすれば、中韓朝三国も抗議をしてこないであろうとし、神社に政府側から分祀を働きかける動きのあること(民主党など)。これは、政府の、靖国神社信仰への干渉であり、信教の自由の点からみて、不当であると思われること。
 中韓朝三国は、4.を要望しているわけですが、これは、形式的には、内政干渉とも取れます。しかし彼らが本当に問題にすべきは、3.だと思います。共産党や社民党も、中韓朝三国の抗議問題だけでなく、もっと原則的な問題を追及してしかるべきです。
asahi.comによると、今日の党首討論において、小泉首相と前原代表の討論があったそうだが、上記の1~4がごちゃまぜになっていて、討論になっていなかったと思います。小泉首相が、「平和を祈念する。平和と繁栄は現在生きている人だけで成り立っているのではない。...

_ 半共分子の独り言 - 2005年10月20日 19時35分04秒


前に、靖国問題について書きましたが、低気温のエクスタシーの記事にあった、中国側の論評に、脱帽しました。
 教義の問題に関連してですが、日本の神様には、招魂の対象としての善の神と、鎮魂の対象としての悪の神があるのでした。日本文化の研究も中国の方が詳しい。文学的意味を無視した国歌をいただいているのですから、研究レベルが下がるのも当然ですか。
 靖国神社はもともと招魂社ですから、戦死者は善神として祀られているわけです。天満宮のように、悪霊(菅原道真)を鎮魂する神社とは違うわけです。そこには、戦死者を悼む気持ちではなく、戦死者を誉めたたえる気持ちで参拝することになるわけです。そこには、沖縄久米島の事件のような、日本軍に殺された日本人朝鮮人の霊もなければ、東京大空襲の犠牲者の霊も、無いのです。千鳥が淵墓苑も、主に海外戦死者の身元不明の遺骨を合葬しているわけで、いわば靖国神社とセットのようなものです。
 悲しいことに、メンフィスからの声の記事にあるように、小泉首相の嘘にまた、マンマと騙されて、靖国神社参拝支持の意見が女性に多くなっているそうです。リフォーム詐欺だけじゃ済まず、宗教詐欺まで手を広げたか。
 こうしてみると、無宗教、軍人民間人不問の、戦没者の鎮魂のための施設が、非常に大事なことに思い至りました。60年間ほったらかしにされた、無名戦士、無名国民の霊は、まだ鎮まっていないかも。(仏教徒の戦没霊の多くは、菩提寺で、成仏されていることを信じたいが。)

_ なんで屋@滋賀 - 2005年10月21日 02時47分27秒

さて、前投稿で「靖国参拝」の流れを示したので、
ここからは「どうなん??」の部分に入ります。
 
露店で聞く実感などによれば、
「中国・韓国の内政干渉だ」という声が多い。
これをマスコミ報道の影響(小泉首相と同じ主張)としてもよいが、
僕は当然の感覚....