安倍政権の誕生と抑止力2006年09月20日 00時15分37秒

日本では安倍政権が発足しそうだ。教育基本法法・憲法の「改正」は「公約」である。それに対して、左派野党は口では「反対」を言っているが、本気で阻止しようとしているかどうかは疑わしい(野党指導者の戦前責任)と言わざるをない。
しかし、沖縄知事選で共産党が71歳の候補を「断念」するようなので、「このままではまずい」という情勢判断くらいはできるようになってきているのかもしれない。この方向に期待をつなぎたい。(京都ではカッシーニさんのような柔軟で庶民の現実感覚=「唯物論的」視点を持たれている方が議員候補者になっているし)

だとしても、安倍政権がメディア戦略とコイズミ=アベ的ニュースピークによって人々を引きつけながら、一定の目標に到達する可能性はかなり高いだろうという悲観からは逃れられない。

第一に、自由なビラ配りや学校卒業式から、政治家・芸能人の発言に至るまで、「いじめ」的な暴力・抑圧が強化されていき、自立的な個人は徹底して攻撃の的にされていくであろから。
残念ながら、戦後民主主義は、このような陰湿な「いじめ」攻撃を克服することはついぞできなかった。

第二に、景気が回復しても経済構造はもとに戻らないし、格差の解消はない。格差を合理化する新自由主義的イデオロギーは結局は弱まらないだろう。
そして、底辺で不満をふくらませる人々、底辺に落ちこぼれることに不安を感じる人々は、ますます強力な権力やナショナリズムや決断主義にすがっていくだろう。
それは、「いじめ」に動じない自立的な人々への攻撃や「自由からの逃走」とも結合して、戦後民主主義への総バックラッシュとなっている。

第三に、野党、左派勢力が分裂していること。その背景には、現代の状況に見合う理念・政策を掲げた核となる集団が現れていないこと。この点は日本の反全体主義勢力の保守性・脆弱性だろう。市民運動が発展し、民主党や社民勢力が現実的な経済・防衛政策という<右>や「新し社会運動」という<左>を総合して自己革新をしている核となる動きが育っている欧米とは違うところなのだ。

だが、逆にいえば、これらの点に民主主義を守ろうとする私たちが、きちんと対処して、克服していけばよいということでもある。それが難しいのはたしかなのだが、不可能ということではないはずだ。



新自由主義と国家主義が結びつく傾向は、世界中に見られるが、しかし、憲法の全体主義的な改悪のよう民主主義の破壊が必然であるわけではない。
あのスウェーデンでさえ、社民政権が選挙で負けて、中道右派政権が誕生するとか、ドイツの地方選でも極右が議席を得たと報道されると、全体として右傾化しているようにも思えるが、そう単純ではない。類似した点も見られるが、現代の世界は本質的に1930年代とは異なる。

スウェーデンで勝利した穏健党の政策は、英労働党のブレアのものと類似しているという。
If transported to a British political system most right-wing Swedes would find themselves comfortable inside the Labour Party. Indeed Mr Reinfeldt's biographer, Mats Wiklund, says Mr Reinfeldt's appeal to the man in the street in Sweden is that he would be "a better social democrat than the Social Democrats".
The big question: Is Europe turning away from the social democrat model?


だとしてもヨーロッパの成熟を経験していない日本では、結局、安倍政権は、ジェンダー・バッシングや若者バッシング、歴史問題、ナショナリズムなど、文化的な反動化をかなり成功させるだろう。軍事政策でも対米従属強化を勇ましい言葉で塗り固めて進めるだろう。
国内的にそれを抑止する力を大きくするために知恵を絞りたいところだが、しかし、当面は難しいかもしれない。
結局、安倍政権の暴走を現実的に抑止するのは、グローバル化した世界の中で、日本のナショナリズムのみでは処理できないという現実だろう。コイズミのアジア外交不在を放置して、日本の軍事的プレゼンスを高めるなどということができようはずがない。
外圧に頼るということではなく、国際的なイシューが国内的な要因に跳ね返ってくる、グローバリゼーションの現実にいるということだ。

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