ピンぼけの共産党による民主党批判2007年01月06日 21時32分35秒

 日本共産党の第三回中央委での志位委員長の報告を読むことができました。
 安倍政権への批判などは的を射ている点が多々あると思います。しかし、安倍政権の暴走ストップを願う、私たち庶民の声が届いているのでしょうか。もっとも残念なのは、民主党批判のあり方です。志位さんはこう言っています。
  ・・・こうして三年余りの動きを検証してみても、三年前の民主党と自由党の合流が、それまでの民主党の性格を、いわばもう一つの自民党へと大きく変質させた、このことは明らかです。今日の民主党は、自民党政治の「三つの異常」を共有する政党であり、政治の基本でどちらかが「よりまし」とはいえないのであります。
 わが党は、国会内の対応で、与党の暴走を食い止めるうえでの野党間の連携は、条件があれば今後もすすめます。しかし、民主党がもう一つの保守党への変質を明瞭にしたもとでは、政権共闘はもとより、国政選挙での共闘も問題になりえません。自民・民主の合作としてすすめられている憲法改定のくわだてを打ち破るために、草の根から国民的多数派を結集し、改憲派を包囲・孤立させていく、このことが、今後数年を展望して国政の最重要の課題になっていることを強調したいと思うのであります。(拍手)
 まったくため息をつくしかないというところでしょうか。

 共産党が民主党の政策を批判することは当然のことですし、与野党問わず政策論争をどんどんやってほしいです。そして、自由民主主義・平和主義を保守する立場からすれば、志位氏が言うように<改憲派を包囲・孤立させることが最重要課題>です。
 しかし、このブログでくり返し書いているように、2007年の現在の情勢での、具体的課題は、国家主義的・米国従属戦争参加目的の憲法改悪を阻止するためには与党を参院選で敗北させることであり、それを、何より優先させなければならないと思うのです。
 
 いくら民主党に入っていたリベラル・革新系の票を共産党が少しくらい獲得できても、野党の協力もなく、建設的な政策論争もない泥仕合をして自民党が勝てば、憲法改悪への道にまっしぐらに進むでしょう。いくら共産党の票が増えてたとしてもどうなるでしょうか。
 自民党が国政選挙で得票率では少数派なのに多数議席を占めて、教育基本法改悪という悲惨な結果を許した、この数年の経緯から明らかです。

 「民主党はもう一つの自民党と同じ」として国政選挙での協力もしないと宣言するのはのは、あまりに乱暴です。防衛政策ひとつとっても民主党は「専守防衛」によって集団的自衛権に枠をはめています。共産党から見れば不十分に見えるかもしれません。しかし、今、問われている、9条を変えて米国の下請け戦争に参戦できるようにする憲法改悪に民主党は賛成はしていません。

 
 日本国憲法の理念に基づき、日本及び世界の平和を確保するために積 極的な役割を果たす。自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念 上の議論の経緯に拘泥せず、専守防衛の原則に基づき、わが国の平和と 安全を直接的に脅かす急迫不正の侵害を受けた場合に限って、憲法第9 条に則り、行使する。それ以外では武力を行使しない。
 これが民主党の政策マグナカルタの防衛政策ですが、9条改悪を俎上にのせようとしている安倍自民党と同じだと志位共産党は強弁するのでしょうか?

 志位氏は<民主党批判を進めるうえで「情報提供型の対応」をするのが大切だ>と言っています。
 多様な潮流をかかえた民主党が、外からも見える形ですったもんだしながら政策をつくっているのに対して、何の情報公開もなく「中央」から正しい政策が決定される共産党が<情報提供型>を強調するというのも何ともアイロニカルです。

 大きな歴史の流れを見れば、ファシズムの政権獲得を許した教訓は、社会主義者でなくても共有されていたはずですが、「過去の戦争への無反省という異常」を指摘することができなくなるのではないかと危惧します。志位氏は社民党が民主党と選挙協力をすることを批判していますが、安倍自民党の勝利に手を貸すような<批判>ではないあり方を望みたいものです。

 尚、aiubisさんに紹介していただいた、2007年参議院選挙 野党共闘 にもTBをします。

コメント

_ ゲゲゲのイチロー ― 2007年01月09日 15時52分41秒

はじめまして
最初にお断りしておきますが、わたしは共産党支持者ではありません。むしろ色々と党として改めていかなければいけない体質をかかえた党だと思っております。
ですが、あなたの掲載された記事の一部にひっかかるところが感じられるので、あえてコメントさせて頂きました。
>私たち庶民の・・・(三段目)
このお言葉は民主党支持のあなたのお気持ちを反映させていらっしゃるとともに、共産党支持者の方たちも、持っている気持ちかも知れません。
ひょっとしたら、公明党支持者だって・・、いや自民党支持者の中にだって・・とは考えられませんか?

無党派のわたしから見れば、あなたの主張や姿勢は十分、共産党に負けないぐらい偏狭に見えます(言い過ぎでしたら謝ります)。
わたしのように政治に疎い者にとって、限られた情報と、間近に見る各党の行動しか判断材料のない者にとって民主党の現在の行動は信じるにたるものがあると思われますか。
わたしも微力ながら政治記事をブログに書いております。ただみなさんと少し違うところは記事を構成していく段階で街の声(党派、老若男女構わず)をベースに自分の意見を構築するようにしております。
これは決して押しつけではございませんが、その辺からなぜ庶民が○○党に投票するのか(支持者でないにしても)が、見えてくると思います。
その上で自分たちの主張に耳を傾けてもらえるよう努めるのが本当の庶民の声を代弁したことに通じるのではないでしょうか。
いきなり、お伺いして不躾なコメントを差し上げた無礼をお許し下さい。
ご参考になるかどうかわかりませんが最近見た記事のアドレスを添えさせて頂きます。
http://www.asahi.com/paper/editorial20070105.html#syasetu1

申し遅れましたがわたしは憲法改正反対、共謀罪反対他の姿勢です。

_ memphis ― 2007年01月09日 23時28分03秒

ゲゲゲのイチローさん、コメントありがとうございました。

ストレートに行きます。
>無党派のわたしから見れば、あなたの主張や姿勢は十分、共産党に負けないぐらい偏狭に見えます
について。私も無党派なのですが(無党派主義者ではありません)、「共産党に負けないくらい偏狭に見える」根拠は、私の主張のどの点にあるのでしょうか。ぜひ具体的にあげていただけると幸いです。

>民主党の現在の行動は信じるにたるものがあると思われますか
一般的にではなく、教育基本法改悪に結果的に反対した行動、テロ特措法等に反対した行動は、客観的事実です。民主党の問題性・不十分性があるということは、私はほぼ志位報告と認識を同じにしていますが、決定的に違うのは、その問題性・不十分性を根拠に「民主党は自民党と同じ悪」であるとすることの現情勢における実践的帰結が、どこにいたるのかについての認識の差です。

尚、あげていただいた「最近見た記事」=2007年01月05日朝日新聞社説に私は、ほぼ完全に賛同しております。だからこそ、この記事を書いた点をご理解ください。

_ 伊東勉 ― 2007年01月12日 14時05分42秒

 はじめまして。私は岩手に住む伊東勉と申します。

 いきなり本題に入りますが、メンフィスさんの1月6日、7日の記事を私のブログの記事で紹介させていただいてもよろしいでしょうか。
 私のブログでもいわゆる「共闘」問題を扱っていまして、加えていえば私自身は共産党員でもあります。だから、意見としてはメンフィスさんの意見とは反しますが、new-eraさんとの話し合いの中には見るべきものはあると思い、このようなお願いをしている次第でございます。ぜひご考慮をお願いします。

 いきなりのお邪魔で失礼しました。

_ memphis ― 2007年01月13日 22時44分28秒

伊東勉さん、はじめまして。
ネットにアクセスできない環境にいて、ご返事が遅くなり申し訳ございません。
お申し出の件ですが、もちろん、ご紹介していただければありがたい限りです。
伊東さんのブログを少し拝見させていただきましたが、ご批判の俎上にのせていただき、どのような立場であれ、憲法改悪を阻止するのに1ミクロンでも役に立てば望外の幸せです。

_ ケンシロウ ― 2007年03月18日 09時34分11秒

 私は米国に住む日本人です。 私は共産党支持者です。 でも共産党員ではありません。 あなたを批判するわけではありませんが、 外国からみれば、自民党と民主党って看板の名前は違っていても、中身は同じ自民党なんですよね。 自民党と民主党ってどこが違うのでしょうかね? 日本共産党は欧米型民主主義の長所と短所を一番正しく理解している政党だし、 海外、特に欧米諸国での評価は自民党や民主党より高いですよ。

_ N.M ― 2009年08月17日 18時16分27秒

子供達を守るために、政権交代が必要です。
愚民化教育を行い、子供達の人生を壊す政党は許すことは出来ません。
「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)を読みました。
これ程までに、日本の教育が破綻し腐敗しているのかと驚きました。不登校、引きこもり、ニートが生まれ、犯罪者が続出するのは、教育システムが腐敗しているからです。
知識社会と言われる現代、教育こそが、最大の成長戦略であり、雇用対策です。
ぜき読んでみて下さい。
怒りが、腹の底から湧き出るに違いありません。

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_ 秘書課村野瀬玲奈です - 2007年01月07日 00時34分19秒

各政党の代表窓口から国民、有権者としての意見を届けやすいように、主要政党の連絡先をまとめてみました。「〜の件で〜党全体に意見を言いたい」という場合に。自民党http://www.jimin.jp/〒100-8910 東京都千代田区永田町1-11-23TEL: 03-3581-6211 (代)国民の声を受 ..

_ Tomorrow is Another Happy - 2007年01月09日 07時46分35秒

今年は選挙の年。

だけど具体的にどうすればいいんだろう、と、新年早々悩んでしまっておりまして、みなさんからのご意見をお聞きしたいと、このエントリーを立てることにしました。ぜひコメント欄やTBで、お知恵を

_ 伊東勉の「言いたい事、伝えたい事。」 - 2007年03月06日 13時53分42秒

 前記事「第91号−1 「現政府に異議を申し立てる人の共闘」についての考察(その3−1)」はここからどうぞ。2・それでは、どういう視線で政治を見ていき、たたかいに臨めばいいのか 2月4日を経て、10月の時以上に「降りろ、動くな」の雰囲気に包まれている今の状...

_ Weblog of ЗЧБ(三四郎日記) - 2007年03月30日 00時28分16秒

メンフィスからの声さんから、このブログへの批判のTBが送られてきてたんだけど、先方の投稿記事が削除されたみたいなので、あえて反論はしません。

極端な「日の丸・君が代」の強制に反対の立場の人が、細かい点で違いがあっても浅野氏を支持したくなる気持ちは分かりますが、おそらく浅野都政でも基本的に「国旗・国歌の強制」の路線に変更はないと思います。勝手連の人は、その辺をしっかりみる必要があると思います。

確かに、浅野氏のマニフェストをみると、「『日の丸』・『君が代』問題についての強制的な対応を改めます」と記述されており、この点では、仮に浅野氏が都知事になれば、「強制」について改善が期待されるかも知れません。

しかし、問題なのは、「日の丸・君が代強制問題」を積極的に推進しているのは、東京都では浅野氏を応援している民主党だという点です。浅野氏は、民主党都議団に対して「日の丸・君が代の強制はやめなさい」と言っているでしょうか?

気になるのは、浅野氏が配布した都知事選挙ビラ(第5号)をみると、マニフェストでは触れられている「君が代・日の丸」問題については、一言も書かれていないという点です。それどころか、他の問題でも全く抽象的なことしか言っていません。

また、浅野氏のマニフェストで気になるのは福祉政策です。全く、厚生労働省の路線と同じようにしかみえませんね。「少子化対策」を言うなら、例えば「小児科を増やす」とか「産科医増加へ手だてを尽くす」とか言っても良さそうですが、さすが元厚生官僚、「医者は余っている」という思いこみが強いのでしょうか?全くそんな発想はないようです。

「勝てそうだ」という理由だけで浅野氏を支援し、最も石原都政に批判的な共産党を「浅野氏(民主党)を支援しないのは妨害だ!!」と批判するのは、ある種のファシズムだと僕は思いますけどね。完全に、思考停止です。反省した方がいい。