ヤスオちゃん、泥をかぶってえらい!2005年08月21日 23時10分07秒

 田中康夫氏が、郵政民営化反対派と「政党名『日本』、通称『新党日本』」を立ち上げました。
 客観的には、民主党的なスタンスに近い田中氏ですが、亀井静香氏と前から人的なつながりができていたようなので、国民新党の前からささやかれていたことです。しかし、、綿貫・亀井氏といった印籠や演歌調に象徴される古さまではいかなまでも、荒井広幸氏や小林興起氏といった、スマートさにかける連中と一緒にやるというのは、田中氏があえて泥をかぶって、情勢を少しでも流動化させる役をかって出たということでしょう。

 新党日本は、田中氏も自覚しているでしょうが、具体的な理念や政策を準備できていません。というか、田中氏と郵政反対派=自民造反組との理念・政策での完全一致など期待できません。

 彼の狙いは、むしろ理念や政策などない小泉イメージ戦略と同じ土俵に郵政反対派をのせ(ようとす)るということ、自分自身がそのコマになろうということでしょう。あえてニッポンという党名でプチナショナリストが好みそうなイメージを獲得しようとしていますし、結成記者会見の場もそれを演出しようとしています。
 いわば、ホリエモンが広島で繰り広げたり、「刺客」報道にメディアを誘導したりしている小泉流を戯画化して、演じて見せていることで、小泉流にのせられる層の関心を拡散させるという戦略です。
 だから、新党ニッポンに理念や政策を期待しても仕方ありません。むしろ、50歳近い田中氏がそういう役割をあえて買って出ている努力を多としたいところです。
 彼は、メディアの中で活躍していましたし、掘江社長よりは知的行動力があるでしょう。惜しむらくは、あと10歳若ければさらにその感性の幅がが広がったでしょうが(などという資格は私にはありませんが)、しかし、こうした拡散戦術が、小泉戦略を解毒していく効果を一定発揮することは間違いありません。

 第二に、田中氏の新党は、メディアとしても触れていかざるを得ません。そして、これから彼は、小泉氏の郵政民営化の内実や自民党マニフェストの抽象性を、メディアにアピールする表現で突いていくでしょう。

 それらの結果、空疎なイメージ戦を無化し、次の、政策・理念による論戦のステージを形成することができるかもしれません。
 そして、民主党が政策的優位性をイメージ化させることに成功すれば、小泉自民党は追いつめられていくはずです。
 イメージ化にかなり成功しているのは、ムネオ新党「大地」ですね。小泉改革に痛めつけられた北海道民にアピールできるものを打ち出せているように思います。

 ともかく、今もって、自民党圧勝の可能性はありますが、一人で泥をかぶって、今の状況の中で空疎なイメージ戦をあえて闘おうと出てきた田中氏を評価したいと思います。