小泉首相は靖国神社参拝を2005年08月14日 22時12分32秒

小泉首相は、8月15日に、自らの公約通り靖国神社に参拝すべきです。

私は、原理的に靖国神社に内閣総理大臣という公職に就く人物が、私的な宗教的な行為として参拝する権利を擁護する者です。しかし、私が、2005年8月15日という特定の日に、小泉氏が靖国神社に参拝すべきだするのは、そのような原理的な立場からではありません。

ついでに言うと、私は、簡単にいえば靖国神社は、近代日本の為政者が国民の生命を、国民が選択したとはいえない戦争に捧げさせる(調達する)ためのイデオロギー装置だと思っています。そして、現代でも、大惨禍をもたらした為政者の責任を免罪し、戦後民主主義を否定し、今後、民主主義国家としても遂行可能な戦争に国民を駆り立てるのにも役立つ可能性の高い、イデオロギー装置の一つだと考えます。
抽象的で申し訳ありませんが、私は靖国神社の存在の仕方そのものに否定的です。(しかし、くどいようですが、すべての日本国民が個人の信条において靖国神社に参拝する権利の行使を擁護します)。

・・と、ここまでは前置きに過ぎないのですが、「郵政民営化」を自らの公約として小泉首相が固執し、乱暴な解散を行ったその姿勢が、本当に深い質をもった信念なり、理念なりに根ざしているなら、靖国神社参拝についても、そのような姿勢を貫けるはずです。

どんなに中国・韓国などとの関係が悪くなり、国連常任理事国入が破綻し、日本経済への悪影響も懸念されても、靖国神社参拝を貫徹できるはずです。 そして、そこにこそ小泉氏が、単なる凡百の保守政治家ではなく、革命的な「改革」を実行できる政治家である点を示すことができるでしょう(苦笑)。


それが、小泉氏にとっても、民主政治のもとでの政治家としてのまっとうな道というものです。彼が誤魔化しの政治家ではないなら、敗戦の日に靖国神社に堂々と参拝すべきです。

もちろん、困ったことに「郵政民営化」賛成者が増えたように、「靖国神社参拝」賛成者を増やすことにつながる可能性が高いことは事実です。非常に危険なナショナリズムを一層鼓吹することになるでしょう。しかし、それが小泉政治であり、また一部の日本国民の「民度」の現実なのです。
本来的には、明日の靖国参拝という小泉氏自身行動によって、アジア外交や拉致・ミサイル問題の解決を遠ざけてきた、靖国神社問題を、総選挙の課題として浮かび上がらせるという意味をもつはずなのです。そうなるかならないかは、小泉首相の側の問題ではなく、日本のメディア・野党・そして日本国民自身の問題です。

人気blogランキングへ

コメント

_ おこじょ ― 2005年08月15日 14時13分04秒

はじめまして。
小泉さん靖国に今日参拝しないんで、なんか
肩すかしを食らった感じです。
結局ただのパフォーマンスだったんだねえ。
英霊もきっと泣いてます。

_ memphis ― 2005年08月16日 22時40分44秒

おこじょさん、コメントありがとうございます。
小泉さんは、「信念」よりは「計算」の人だということが、また確認されたということですね。

_ yokoiti ― 2005年08月17日 10時00分02秒

こんにちは。ご訪問&コメントありがとうございました。
ブログ拝見させて頂きました。これからもちょくちょく寄らせていただきます。今後ともよろしくお願いします。

_ memphis ― 2005年08月21日 19時26分28秒

yokoitiさん、コメントありがとうございます。こちらこそ、宜しくお願いいたします。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://anyplace.asablo.jp/blog/2005/08/14/46213/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

_ ◆木偶の妄言◆ - 2005年08月15日 00時00分52秒

靖国問題で必ず俎上に上るのが「A級戦犯の分祀」である。僕は「分祀」をしても解決にはならないと思っているので、この問題に触れずにきたが、今回は敢えて考察を加えたいと思う。

(僕の靖国神社問題に関する立場は、「未来に続く靖国問題」などで語ってきたので、ご一読を)

出口見えぬ分祀論 打診と拒否の20年(毎日新聞)から引用靖国神社は「ろうそくの火を別のろうそくに移しても、元の火は消えない」という例えで、分祀を否定する。他の神社に霊を分ける「分霊」は可能でも、取り下げ除去する「分祀」はあり得ないというのだ。

ここでいう「分祀」について定義しておこう。

当記事で言う「分祀」は...

_ がりょう庵夜話 - 2005年08月15日 10時05分50秒

中川経産相が靖国参拝 橋本元首相も
15日は閣議があるから、14日詣でたと言う。なんで?

 小池百合子環境相、尾辻秀久厚生労働相が終戦記念日の15日に参拝を明言

小池、尾辻ご両人は閣議をサボるのか?
まあ、いろいろしがらみがあって、記念日ズバリは避けたいのだろう。素直にそういえば良いのに。
昔、親父の中川一郎が総裁選に出たとき、他の候補者が明治神宮などに必勝祈願をしていたなかで、中川一郎は靖国神社に祈願に行っていた。大変タカ派な人物で、正直「怖いやつ」と思ったものだったが、それなりに堂々としていた。
父が愛した靖国に父を偲び参拝すると言う感覚なら理解できなくもないが...

_ アウトロー社会学アナリストのよしなしごと - 2005年08月17日 10時10分32秒

 『歴史認識』という言葉を岩波書店の『広辞苑』(第3版)で調べると載っていないことに驚きます。日本を代表する辞書であり、『世界』をはじめいわゆる「左」を代表する出版社が製作しているにも関わらずです。「歴史認識」という言葉自体、実態の不明確な政治的な用語だということがわかります。過去の歴史、特に昭和史の教訓はどういうことで、その教訓をどう生かしていくのかという意識がどこかに忘れ去られて、棚上げされ、神学論争的に「認識」を論じているように思われてなりません。

 私の経験では、極端な先生に当たることもなく、少し背伸びした本も読んでいたので、ある程度左から右まで書物を読み、昭和の戦争の歴史...