民主党に白紙委任できないのには賛成です2007年01月07日 21時42分47秒

 私の昨日の記事「ピンぼけの共産党による民主党批判」にコメントをしていただけたブログ今日の出来事の「優柔不断な民主党に白紙委任状は出せない」という記事を拝見しました。new-eraさんには拙文をとりあげていただきありがとうございました。

 new-eraさんの記事は拙文への批評という体裁をとられていますが、「優柔不断な民主党に白紙委任状は出せない」という主張が中心点で、つまり実質的内容は民主党批判だと読ませていただきました。

 「優柔不断な民主党に白紙委任状は出せない」という点については、私は全面的に賛成します。
 第一に、共産党や社民党を含めて「どの党にも白紙委任などできない」というのが私の意見ですし、第二に、民主党は本来的に新自由主義的傾向を抱え、内部にもさまざまな色合いの改憲派がいて(その中には国家主義的改憲を推進したり、それへ無抵抗な人々を含みます)、私の個人的な意見とは相容れない部分があるからです。

 ただ、new-eraさんが拙文への批評という体裁をとって、拙文に対して記事を書かれていらっしゃり、どうしても誤解もされていると読めますので、最低限のコメントをさせていただきます。

まず次の点なのですが
かのブログでは、『共産党の<改憲派を包囲・孤立させることが重要課題>とする主張には賛意を示しながら参院選で与党を敗北させることが重要であり民主党勝利を優先させなければならない』、としている。
と書かれていますが、私は、その点を次のように書いているのです。
 しかし、このブログでくり返し書いているように、2007年の現在の情勢での、具体的課題は、国家主義的・米国従属戦争参加目的の憲法改悪を阻止するためには与党を参院選で敗北させることであり、それを、何より優先させなければならないと思うのです。
 私は(共産党であれ、誰であれ)「民主党勝利を優先させなければならない」などとは思いません。そうではなくて、<与党(その中心は憲法改悪を推進する自民党です)を敗北させて、憲法改悪を路線をストップさせ、改憲の発議をできなくさせることが最重要課題だ>と言っているだけです。

 new-eraさんが書かれているように民主党には問題があります。教基法改悪時の国会での民主党の腰砕けには私自身痛憤いたしました。ですから民主党を批判してはいけないなどと私は考えておりません。(たとえば、new-eraさんが言及されている「前原民主党前代表」の時には、「無責任な民主党前原執行部への批判の声を集中し、小泉自民党に奉仕する民主党内の潮流を「解体」させていくことが、今、必要なことです」と書いたこともあります)。

 長くなってしまいましたが、私が志位さんの幹部会報告を読んで言いたかったことは次の2つです。
 1)民主党を批判するのはよいが、「民主党はまったく自民党と同じ」は説得力がないということ。
 2)民主党と選挙協力をどのような形態であれ完全否定して、自民(与党)批判票が分散して自民党の勝利に手を貸してしまうのを、私のような庶民はもっとも恐れるということ。


 1)について、もう少し述べさせていただきますと、実効力のある批判がほしいということです。
 たとえば国民投票法についての姿勢は共産党と民主党では異なります。共産党の立場から、「国民投票法は憲法改悪のステップなのだから断固反対せよ」と批判することは当然でしょう。しかし、たとえ国民投票法に賛成したからといって「憲法改悪の道を開く自民党と同じだ」という批判は説得力があるでしょうか。「イラク特措法」と「テロ特措法」に反対した民主党、「憲法9条に則る」と言っている民主党という現実(それは一面の現実に過ぎないという立場を私は否定しませんが)があり、しかも、国民の中の民主党支持者は共産党の数倍という現実があります。
 そのような現実のもとで、憲法改悪を止めるためには、思想信条の違い、立場の違い、党派の違いを超えて、民主主義と平和主義を守るために力を合わせようという流れを、創り出すことが私は今、もっとも必要だと思っています。
 その<流れ>の具体的存在形態が上記の2)の政党間の選挙協力です。参院選まで半年ある現時点で、あらゆる形態の選挙協力を自ら(結果的にではなく)完全否定することが、憲法改悪阻止の流れにとってどのような効果をもたらすでしょうか。

 安倍政権は今つまずいていますが、当然に自民党は選挙目当ての手を次々とくり出してきます。参院選で野党が足を引っ張り合って与党が大勝するという悪夢が現実にならないように、声をあげていきたいです。「社民主要打撃論」がファシズムの伸張に手をかしたような事態はどうしても避けたいと思うのです。

 尚、私は、「民主党は情報公開型政党」だとは書いておりません。企業献金に私は反対ですが(キャノンに親近感をもっていたが )、共産党より自民党や民主党の政策決定過程の情報が庶民には見えやすいのは事実だと思っています。ただし、その政策が庶民にとって「正しい」かどうかはまったく別問題ですが。
 <情報公開>とマルクス主義の<前衛党>の問題などは、いつか余力があったら考えてみたいと思っています。
[追記]:ブログ「秘書課村野瀬玲奈です」さんから、「各政党への代表窓口」のTBをいただきました。各政党へ意見を伝えることは大切なことだと思います。ありがとうございました。

コメント

_ ゲゲゲのイチロー ― 2007年01月09日 21時12分41秒

6日の記事にコメントさせて頂いたゲゲゲのイチローです。あなたの記事にたどり着いたのは8日の村野瀬玲奈さんの記事からのリンクでした。
よってリンク先が7日ではなく、6日のあなたの記事だった為、すでに7日の最新記事がアップされていることに気づきませんでした。
いま7日の記事を拝見させて頂いたところです。あなたが記事の中で取り上げられた『今日の出来事の「優柔不断な民主党に白紙委任状は出せない」』の記事を書かれたnew-eraさんの文にわたしの言いたかったことが、全て含まれていると思います。
6日の記事に寄せたわたしのコメントは、まわりくどい表現でわかりにくかったかも知れませんが、ようするに、民意を尊重しているというのが民主党の主張ならば、なぜ庶民はそれに答えず、他党を支持するのですかと問いたかったのです。
わたしの無作為な街頭アンケートでは「自民党との違いがわかりにくい」がトップで、よってさほど差がないのなら、実績のある与党に継続で良いとの声が大半でした。
断っておきますが、これは現与党に満足しているからということではありません。
いわゆる一般庶民にとっては、共産党や社会党はハッキリとした姿勢が見えるから支持するという人としないという人もアンケート結果として数字に出てくるのですが、民主党はそれらのどちらでもない優柔不断さが市民にはわかりにくいみたいです。
そういう明確さが打ち出されないままで、自公よりはマシというような姿勢ではクロウトにはウケてもシロウト(庶民)には理解されないでしょう。
そういう、ある意味では民意をくみ取ろうとしない(明快なアピールをしない)民主党といえます。

わたし個人的には民主党に勝って欲しいのです。けれどハッキリと支持表明している私たちより、民主党の存在意義を理解出来ない人たちのほうが圧倒的多数なのです。それに気づかない限り、いくら声を大にしても民主党が勝利を得ることはないでしょう。

_ ゲゲゲのイチロー ― 2007年01月09日 21時22分05秒

訂正します。記事中の「社会党」は「社民党」です。

_ memphis ― 2007年01月09日 23時51分28秒

ゲゲゲのイチロー さん、重ねてコメントありがとうございました。
力を入れて書いていただいて感謝しております。
その日その日に追われ時間が無くて(実は私の能力のなさでもありますが<笑>)、丁寧に応答できず恐縮です。

さて、第一に私の認識の次元。この記事に書いていることの繰り返しになりますが、民主党内部に国会主義的・新自由主義的潮流を抱えるなどの問題があります。ちゃんと闘いましょうということですね。その通りです。
第二に、あなたが言われるように、民主党が人々にどう認識されているかという問題の次元。単純化すれば、与党ときちんと対決しないために、曖昧だと見る人もあるし、逆に「構造改革」に対して不徹底で社民・共産のように古い冷戦構造を引きずった「革新派」に同調したりするので曖昧だとみる人もいます。

さて、1/6,7の私の記事は、何をテーマにしているのかを是非見てください。民主党の問題点そのものについてではありません。
民主党に問題点があることを前提にして、<「民主党=敵」として、民主党を含む野党間の協力は現時点で一切成り立つべきでない、そのことが憲法改悪をストップするという最重要課題にもっとも接近する近道なのだ>という点について、それは本当なんですかい?(by memphis)と論じているのです。いかが思われますか?

今後ともよろしくお願い申し上げます。

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_ 秘書課村野瀬玲奈です - 2007年01月08日 17時01分01秒

共産党が野党共闘から距離をおき、民主党批判のトーンを上げていることが報道から、政治ブロガーの記事から伝わってきます。たとえば、「メンフィスからの声」さんのこれ。今年2007年7月の参議院選挙に向けて野党共闘を願う私は個人的にこの状況をとても心配しています ..

_ 代替案 - 2007年01月17日 23時25分48秒

 マルクスは「自分だけが正しいんだ」という態度で、たとえばプルードンのように、本来は当然に共闘すべきと思われる社会運動家をも、口をきわめて罵り、徹底的に批判し、敵に回して行きました。そのくせ、「アソシエーション」のような重要概念を、ちゃっかりプルードンからパクったりしているのです。
 国際労働者協会(第一インターナショナル)においても、マルクスは自分の主張を押し付けようとばかりして、他の派閥の怒りを買い、ついにバクーニン派と決定的に対立して第一インターナショナルそのものを崩壊させてしまうのです。マルクスは運動の組織者としても、運動の戦術家としても全く才能がなかったといえるでしょう。